組合員は、理事会を傍聴することができるか。

・・・住民と理事会との意思疎通が取れていないマンションでは、よく起こる問題です。標準管理規約にはこのことを触れていません。
回答としては、「原則、傍聴することができる」のです。


理由は、民法第645条 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し~略~との通り、理事は組合員の皆様から委任を受けて理事に就任しており、その仕事の状況を報告すべき立場にあるのです。委任を受けたからには、委任者からの請求によって「いつでも」報告しなければなりません。その報告の場として設けられているのが理事会であるので、理事会の場に出席することができないのは、原則おかしな話になります。
例外として、傍聴できない場合とは、理事会外で組合活動についての報告をする、という形をとったのであれば、本条の主旨を満たしていますので、出席できない形になります。
余談ですが、よく「未納管理費をしている人がいてそれについて議論する時間がある。個人情報だから傍聴できない」という理由を挙げる役員さんがいます。これは、間違った意見なのですが、その理由を下記に挙げます。

 (1) プライバシーにはあたるが、管理組合は個人情報保護法における事業者にあたらない=個人情報保護法の適用がないので、「個人情報だから」という理由は正当な理由とはならない。
 (2) 未納された管理費も、皆さんの財産です。例えば、簡単に考えますと10,000円未納している人がいて、全組合員が101人の場合、滞納者は1人ですから、残りの100人について、皆さんが分割債権=100円ずつを受け取る権利があります。さて、100円回収できる権利を持っているのに、誰が滞納しているのか開示されないのはおかしいですね。組合員は第三者ではなく、当事者、ということになりますから、情報を求める権利があります。
 (3) 既述の通り、個人情報として滞納状況を理事会で報告しないとし、委任事務の報告を別の場でするにしても、結局は総会で、決算報告の際には未納者に対する件も開示されます。結局は、あとで知ることになりますので、個人情報保護が理由では、やはりおかしいことになります。

結論としては、理事会を傍聴することができる、ということですね。

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